「まぁ、確かめたいなら杏里と喋れ」
「…」
俺が黙りこむとクスッと笑った皐月。
なんでもお見通しのように立ち上がる。
「もし、琉に杏里以外の好きな奴がいるとわかったら…杏里ならどうすると思う?」
「どうするって…。あいつなら気を遣って……あ」
もし、杏里が勘違いしてるなら?
少しでも可能性はある。
別れを切り出した俺に好きな奴が出来たと思ってるかも。
「杏里からの伝言。好きな奴の一番傍で守ってやれってさ」
杏、俺……期待するけどいい?
俺を必要としてくれる?
「皐月、ごめん。俺ちょっと行ってくる」
「行ってらっしゃい~」
部屋を急いで出る。
いつもはうざったい母さんと父さんのイチャついてる声も気にならずに家を出れた。