「…俺、もう帰るから。杏里、俺はいつでも味方だからね」
耳元でそう呟いて。
杏里と再会したら渡そうと思ってた連絡先を書いた紙を杏里の手に握らせる。
少しだけ抱き寄せた体。
もうこれで最後。
たぶん、杏里と琉は大丈夫だろう?
俺の胸に杏里がいるのも最後。
「杏里、愛してたよ」
一瞬だけの触れるキスをした。
「…私も愛してた。皐月、初恋をありがとう」
嬉しそうに連絡先を握りしめて笑った杏里。
俺は杏里に恋をして良かった。
実らなくて良かった。
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