「杏里、よかったら俺に杏里の率直な気持ち、聞かせて?」
泣いている杏里の背中を摩りながら言うと小さく頷いた。
ただでさえ小さな体が大きな荷物を抱えこませてる。
それは俺のせい?
「あのね、こんなの皐月にいうことじゃないのわかってる。だけどね、やっぱり琉が好きなんだよ…」
うん、と相槌を打ちながら声を出すと話し続ける杏里。
だいぶ暗くなった寒い夕方。
公園には誰ひとりいなくて、寂しい風景が広がってる。
「なのに、皐月が現れて…正直わかんなくなるの。どっちが好きだったんだっけ?って」
俺が自分でいうのもなんだけど、杏里は過去に俺を好きでいてくれた。
今は琉。
過去と現在の気持ちが俺の存在によって入り混じってしまった。
そんな感じなのだろうか。

