あーあ…。




 二人のキューピットにならなきゃって思ったのに。





 こんなに傷ついて困ってる杏里を放って帰れないじゃん。





「皐月…」

「大丈夫だよ。俺を選んでくれるなら時間はあるからゆっくりで。琉を選ぶなら…琉が次の人を探すまでの時間はあるよ」

「どうして、こんな私を選ぶの?」




 俺の胸の中でおとなしく話す杏里。




 前よりずっとオシャレになってて、綺麗で可愛い。




 ふわっと香るシャンプーの香りも、薄いメイクをしてるのも。





「そんなの、杏里が好きだからだよ」




 全部愛しい。




 ずっと望んでいたものなのに、俺でいいのか不安。





 初めて杏里に言った「好き」の言葉は思ったより杏里に響いて。






 泣きださせてしまった。