「…ちょっと時間ある?」



 黙って頷く杏里を連れて公園に来た。




 夕方ということもあるのか、少し冷えて寒い。





「…どうしたの?」




 ベンチに座らせるとこっちを見ながら少し笑う。





 昨日の怯えた表情は見せないけど…大丈夫なのかな。






「率直に聞くけど、俺と琉とどっちが好きなの?」

「……なんで…琉の事知ってるの?」

「今日話した」

「そっか…」





 俺は杏里が思っている以上に杏里のことをちゃんと知ってる。





 …不安になるとスカートの裾を握る癖も、冷え性なのも、誰よりも心が優しいことも。