「…そんなに言うか? 琉が近づけって言うなら近づいて元の関係にも戻ってやる。だけどな、絶対後悔するぞ」



 皐月は悲しそうな顔をするとオレンジジュースを全部飲みほして、代金を置いて出て行った。





 …後悔ならもう既にしてる。





 1人で飲むコーヒーの苦さがいつもより感じられた。





 俺が望むものは何だろうか。






 杏の幸せ?




 そりゃもちろんだ。





 きっと前の俺なら「俺が幸せにしてやるんだ」って言うだろう。





 いつからだろうか。





 そんな強気の発言が言えなくなったのは。