「…そう、だけど…すっげぇ後悔してる。琉…俺やっぱり帰る」
「杏迎えに来たんだろ?」
「そうだけど…。やっぱり杏里には琉がいい」
何いってんの、こいつ。
俺は嘘だとしても皐月の前で杏のことは好きじゃねぇって言ったんだぞ?
「俺、杏の事好きじゃねぇんだぞ?」
「…なのに泣くんだ?」
「…ッ」
頬に流れてるものだって、きっと時間が経てばなくなるだろう?
「…絶対後悔するぞ? 夜も苦しくなって頭も痛くなって、目を閉じれば杏里しか出なくなるんだ」
「…」
眉間にしわを寄せて手に力を入れる皐月。
「こんなことライバルにいうのおかしいよな。だけど、俺は杏里に幸せになってほしい。俺が行ったって杏里は苦しむ」
…杏は皐月のことが好きなんだ。
その考えが消えなくて。
「…杏は今でも皐月が好きなんだ」
どうして言ってしまうんだろうか。

