溺愛男子



 無視して皐月の横を通り過ぎようとしたら腕を掴まれる。




「んだよ」

「学校、あっちだろ」

「……関係ねぇだろ」

「サボるならさ、ちょっと付き合ってよ」




 少し笑った皐月はそのまま俺の腕を引っ張って、俺が歩いて行こうとした道を行く。






 なんだよ、こいつ。






 近くの喫茶店に入ると皐月は「オレンジジュース一つ」と店員に言う。





「杏里の彼氏サン。何にする?」

「ブラック…」




 店員が去ると感動した目でこっちを見る。




「何」

「コーヒー飲めんの?!」

「は?」

「俺、飲めなくてさ―…オレンジジュース。子供っぽいだろ」