「琉、大きいね」

「普通」

「はいはい(笑)」



 大きなセーターを脱ぐのにも力いっぱいの杏。




「んー…」



 腕の長さが違い過ぎてなかなか脱げないみたいだ。




「こっちおいで…」




 半分脱ぎかけの杏を傍に呼んで俺の胸に顔を押し付けた。




 やっぱり小さい杏。




「はい、ばんざーい」




 素直に手を上げた杏の腕からセーターを脱ぎ取ると静電気でボサボサになった髪で俺のほうを見ながら嬉しそうに笑った。





「ふふ、琉がばんざーいって」

「なんだよ、悪いか」

「ううん。可愛い」



 いやいや、可愛いのは杏里だろ?





 髪を梳いてやると少し照れながら走って行った。