「杏里、おはよ…」



 そっと目を開けた杏の鼻をつまんで笑う。




 たまには杏里って呼ぶのもいいだろ?





「…そう言えばさ、杏里の元カレって杏って呼んでるんじゃなかった?」

「うん…別れる前の話だよ」

「そっか」




 昨日会ったときは「杏里」って呼んだもんな。






 俺は気分で呼ぶ。





「朝飯食う?」

「んー…もうちょっと寝たい-…」

「学校あるんだけど」

「あ、忘れてた」




 寒い外と違って俺らのいたベッドは温かい。




 出たくない気持ちも分かるけど…。






 杏の体を抱きよせて起き上がる。




「寒いぃぃ…」

「さっきヒーター付けたから。朝飯よろしくー♪」