「風邪ひいたらどうする?」
「バカは風邪ひかないから大丈夫でしょ」
「俺に言ってんの?」
「うんー」
ピンッと額を弾いてやると片目を瞑りながら額を押さえた。
「いたーい」
「俺バカじゃねーし」
いろんなものを溜めこむ杏の方がバカ。
俺に言ってくれればなんとかしやれるのに。
「あ、雨少し止んだよ」
「今のうちに帰るか」
冷たい杏の体を名残惜しげに解放すると立ち上がって俺の分の鞄まで持った。
「今度は私が琉を引っ張ってあげるー♪」
「無理無理」
「いいから!」
半分無理矢理、杏に手を引かれて帰った。
寒い日の放課後は嫌なこともあるし、温かいこともある。

