「…皐月……?」

「誰…?」




 こっちをじっと見ている男が1人。



 完全に俺らのほうを見てる。





 杏が呟いた名前―――。





「杏里…」




 こっちに近づいてくる男。




 …杏?




 杏と繋がってる手からわずかな振動が伝わってくる。





 震えてる…?




「杏、大丈夫か?」

「りゅ、琉! 行こう?」

「え、でも…」


 泣きそうな顔でこっちを見る杏。




 あ、マズイ―――。