杏が振り返るたびに長い髪が宙に舞って俺の顔面に衝突。



 何気に痛いんだよなー…。





「切ろうかなぁ…」

「少し短くするくらいでもいいんじゃね?」

「だね」



 暑いし、と笑う杏。



 出会ったときよりだいぶ伸びた。




「琉さ、進路どうするの?」

「俺? 県内の大学行くけど」

「ちゃんと決めてるんだ…」



 急に進路の話を始めた杏。




 何も考えてないらしい。





 さすがに3年の2学期だし、考えなきゃいけない時期だ。




 全くではないけど、ある程度は進路先も決めておくべきだろ。




「杏…したいことないの?」

「んー…特に」

「そっか」