溺愛男子



 やっぱり無理だ。



 杏を一瞬でも一人ぼっちにさせるようなこと俺には出来ない。





 誰も俺と杏が離れろって言ってるわけじゃねぇ。





 いいじゃん、一緒にいても。





 俺は杏が必要で、好きで、大切なんだ。



 杏も俺を必要としてくれてるんだ。





 どうして離れなきゃいけないわけ?





 杏と離れ離れになった日、絶対取り返して傍に置こうと決めていたんだ。





 いまさら考えを変えなきゃいけないことはねぇ。






「杏、全部現実だ。でも、俺は離れて行かないから。安心して」



 俺がそう言うと少し顔を上げてこっちを見て笑った杏。





「よかった…」