溺愛男子


 苦しそうな表情をする杏。




 どうしたら助けてやれる?



 俺は杏、お前を守れなかったんだ。





 杏はあぁいってくれたけど…俺は杏の傍にいてもいい存在か?



 杏の人生の邪魔になってねぇ?




「杏…俺、離れたほうがいいかな?」





 きっと杏なら俺の他にも守ってくれる奴がいるはずだ。




 俺ってこんな弱者だっけ?




 そんなことを自分に思わせるくらい、弱弱しい俺。





 杏の体に触れていた手を離す。





 どうしてこんな考えに辿り着くのか分からない。





 今回の問題は俺に関係ないって言えば関係がなくなる。





 杏と杏の親父さんの問題だろ?





 俺が勝手に関わって行っただけだもんな。