溺愛男子

 *琉side*




 飯を作り終わってもう一度杏の傍に座る。




 さっきまで笑ってた杏の表情は比べ物にならないくらい不安そうな顔で眉間にしわを寄せて唸ってる。




「…杏?」



 俺は不思議に思って杏の肩を軽く揺すった。





 顔の痛々しい傷は俺の目までも伏せさせる。





「またこんなに傷増やしやがって…」




 片手で揺らしながらもう一方の手で杏の傷に貼った絆創膏に触れた。





 なんでこんな唸って不安そうな顔してまで耐えようとするのか分からない。




「…りゅ、う…」

「ん…どうした?」



 目を開けてないハズの杏が俺の名前を呼ぶ。




 俺も出来るだけ優しい声で冷静に返事をする。