「ただし、金が先だ」
「今から振りこもう」
「…おい、確認しろ」
素早く助手席に座っていた男がパソコンを開いて何かをチェックしている。
「部下に振り込むように頼んでおいた」
「…確かにたった今、振り込まれました」
おじいちゃんはにこりと笑うと私の頭を撫でる。
男は少しつまらなそうな顔をした後、乱暴に琉を車から押しだした。
「命拾いしたな」
案外簡単に解放してくれるんだ。
私もあまり状況が飲み込めずに、ただ車が去って行くのを見送った。
「…杏里ちゃん、間に合ってよかった」
「…おじ、いちゃん」
「琉君は大丈夫かい?」
おじいちゃんが琉の方を見る。
琉は手首を縛られたまま、頷く。

