「…おじいちゃん」

「…理事長」






 いつものようにスーツを着こなすおじいちゃんは男に話しかける。






「すまないが、杏里ちゃんと琉君は返してくれないか?」

「断る」

「全金額、今日中に返すと言っても?」




 おじいちゃん…?



 何を言ってるの?




「………そんなこと出来るのか?」



 驚いた表情で男はおじいちゃんを見た。





「2人さえ返してくれれば」

「…いいだろう」





 …条件を呑んだ?