そんなのおかしいよ?




 笑顔で手を縛られている琉もおかしい。





 私はそんなこと望んでないのに。






「…琉、お願い止めて…」

「…杏。俺は杏のためなら何でもする」

「こんなの望んでないっ!!」

「杏が苦しむ姿は見たくねぇ…」



 そう言うけど。




 琉が苦しむ姿を想像しただけでも怖い。




 それが私の苦しむ原因にもなるんだよ。





「おじさんッ!!!」

「…何度言えばわかるんだね?」




 ついに縛り終わった男は琉を車に乗せる。





 私は手を縛られたままで何も出来ない。