*杏里side*




 こんなこと望んでないのに。




 ――――――――あの人のところに連れ戻された私は前より確実に増えている借金をあの人の代わりに払うことになっていた。



 気がついた時には両手を紐で結びつけられて、懐かしい我が家の部屋の隅。





 私の居場所だったところ。





 琉と思いが通じ合ったのもつかの間、すぐに引き離された。





 その悲しみと絶望で涙は止まることを知らない。





「うるさい!!」



 しゃくり上げていた私を黙らせるように再び恐怖が始まった。







 きっと今は夜中。





 外は真っ暗で部屋の電気も着けずに蹴られる。




「やめて!!」




 本当に長い夜だった。




 朝になると知らない人たちがたくさん入ってきてあの人と何か会話した後私に近づいてきた。