溺愛男子


 男たちに髪の毛を引っ張られて車に乗せられる。




「え…ちょ!!」




 俺は焦りでどうなろうが構わずに車の方に走った。




「杏ッッ!!!」




 これでもかっていうくらいの大きな声で叫んだ名前は本人には届いてるのか届いてないのか。




 わからないけど、車は行ってしまった。




「んなことで、諦めれねぇよ!!!」





 状況が呑み込めない中でも必死に車を追いかける。





 頼む、信号で止まれ!!!





 息が出来ないくらいに必死に走って車を見失わないように目だけを凝らす。






 俺の思いが通じたのか車が信号に捕まって止まる。





 俺は最後の力を振り絞るように車に追いつき、窓ガラスをたたく。





 車の窓が開くと口にガムテープを張られている杏が目に入った。