溺愛男子


 メールまではさすがに俺も抵抗がある。




 杏の親父さんが杏のメアドを知ってるはずもないし、開く必要はないだろう。






 今度はさっき見てたスケジュール帳を開いてみる。






 …あ、杏誕生日3月なんだ。




 3月3日って雛祭りじゃん。




 また可愛い日に生まれたな。





 だけど、杏の誕生日の下に書かれている文字。





 『お母さん、命日』の文字。




 …杏が生まれた時に亡くなったんだっけ。




 母親の命日と自分の祝いの日が同じってどんな気分だろうか。






 良い気がするはずがない。





「杏、待ってろよ…絶対助けてやるから…」






 俺はもう一度心に誓った。