『もしもし?』
渋くて落ち着いた声が電話越しに聞こえた。
「…すいません。杏……杏里の知り合いですか?」
『…杏里? 杏里ちゃんは私の孫だが…』
「あ、理事長!!??」
杏のじいさんって確か…俺の学校の理事長だ。
向こうも俺のことを探っているのか、遠慮気味に聞いてきた。
『君は?』
「俺は杏の……恋人です」
『そうか! どうしたんだね?』
少し嬉しそうな声が聞こえる。
よかった、優しそうな人だ。
「落ち着いて聞いてもらえますか?」
『…わかった』
俺はさっきまで話をすべて言った。
さすがにさっき告白したとは言えないが。

