溺愛男子



「…初めて乗った……」

「遊園地も初めてなのに乗ってるはずねぇだろ」




 普通の会話で少し安心。




 たぶん杏は恋人は観覧車に乗ってなんていうことは知らないんだろう。





 めっちゃ普通に楽しんでる。





「すごーい! なんか世界のトップに立った気分~」

「意味わかんねぇ…」

「だってだって!!」



 向かいに座ってる杏は勢いよく立ちあがった。




 ―――ガタっ




「う、わ!!」

「あっぶねぇ…」




 俺の方に倒れてきた杏を支えて隣に座らせる。




 マジで神様に感謝してぇ。




「隣だと傾くよ?」

「いいじゃん、別に」