「ごめんな。俺が杏から離れたからだろ…?」
「ううん。琉がいるのが当たり前になっちゃってる私が悪いの」
それはそれで嬉しかったりする。
俺の存在が杏にとって絶対的でいなきゃいけないみたいな。
「俺がいるのが普通でいいじゃん」
俺を必要として欲しい。
俺と杏で一体としていたい。
「でも、それじゃあ…」
「俺がずっと杏の傍にいてやるから」
「…琉」
「ん、最後に観覧車でものらねぇ?」
黙って頷く杏。
もうすぐ閉館時間。
杏と俺の遊園地デートは思い出になるんだ。
『楽しいね』じゃなくて『楽しかったね』になる。
その前にこの俺の気持ちを固めておきたい。
杏に伝えておきたい。

