電車に揺られながら外を眺めていると夏らしい景色が見える。




 真っ白な雲に青い空。




「…夏だね」

「それ今、俺も思った…」




 夏だ。




 バイトも入れてる杏はこういうのんびりした時間が好きらしく、電車を満喫してる。





「どこ行くの?」

「ついてからのお楽しみ」



 杏の家からずっとこの一点張り。



 少し笑う杏は夏にふさわしくない肌色。



「日焼け止め塗った?」

「まだ塗ってないよ」

「焼けばいいじゃん」

「嫌だよー。後で痛いじゃん」




 それが日焼けのいいところでもあるだろ。




 夏にしか感じることのできない痛みだぜ?





 電車から降りると歩きながら日焼け止めをぬる杏。




「暑い~…」

「我慢しろ」



 少し歩くと見えてくるもの。




 今日の目的地でもある。