「嫌です」



 杏はいつまで経っても同じ答えで、微かに震えてる。





「杏ッ!!!」





 聞いたことない名前に知らない黒尽くめ。




「りゅ、琉……?」




 車のランプで俺の顔が見えてないのか疑問形で返ってきた返事。



「…おい、離せよ」

「誰です? そっちこそ手を離して頂けるとありがたいのですが」




 杏を掴んでいる手を俺が握る。



「俺は……杏の…」


 俺…杏のなんだろうか。




「と、友達だ」




 その言葉に杏の顔が曇ったことも知らずに俺は男を睨みつける。