信号の周りには結構人が集まってて少しだけ動き辛い。




 小さい杏はすぐに見失いそうだ。




 必死に目をやって続いて行く。




「…え?」




 またすぐに人通りの少ない道に来て、信号に掴まった杏はボーっと立っている。





 その横に黒い車が止まった。





 暗くて杏の表情はよく見えないが、何か話してるみたいだ。





 壁にもたれかかってその様子を見ていると、なぜか杏が一歩一歩下がって行く。





「杏…?」





 俺は不審に思ってさっきより少しだけ距離を縮めると会話内容が聞こえてくるようになった。