失恋じゃねぇよ?




 むしろチャンスだ。




 杏の好きな奴は今、ここにはいないだろう?




 この部屋にいるのは俺と杏だけなんだから。






 チャンス以外の何にとらえようか?




 考える時間さえ無駄だ。





 チャンス以外の何物でもないんだから。





「杏」

「ん?」

「ちょっとだけ…」




 俺から熱いと言って離れたからだをもう一度くっつける。





 杏をさっきより密着させるとほのかに杏の顔が赤くなった。





「あれ…照れてる?」

「ううう…うるさいッ!!」

「マジかよ………」



 ほのかどころじゃねぇ。




 ゆでダコ。