「…琉の好きな人は?」

「すっげぇ可愛い奴」




 嬉しそうに笑う琉。




 その笑顔は私に向けてるものじゃないってことくらい分かってるのに。





 こっちまで笑顔になってしまうのは琉の魔法なのかな。





 琉が好きになっちゃうような可愛い人に私がかなうはずがないのに。





 好きが溜まって行くのはまた琉の魔法なんだろう。






「可愛い人なんだ…琉とお似合いだね」

「マジで? 似合うか?」

「うん」



 妙なほどの作り笑いだって琉の幸せのためならしてあげるよ。




 たとえ琉が望むのが私じゃなくても。