「杏は?」 胸に置いていた手をどけて琉の傍に下ろす。 「私もいるよ」 間違いないだろう。 決して初恋じゃないけど、だからこそ確信できる。 好きという感情。 「へぇ……どんな奴?」 琉が私の背中に回していた腕の力を強めるのがわかった。 琉はどんな人だろう。 「…笑顔が素敵で…優しい人だよ」 「うわ、なんか妬けるな」 私の首に顔を埋めた琉はぼそっと言った。 …妬いてるの?