「どこ行きたい?」

「……涼しい所」



 俺はただそれだけ。



 本当は杏さえいればどこだっていい。





 いつの間にこんなに杏に心を占領されていたんだろうか。





 そのうち杏の詰め込みすぎで俺の頭と心は壊れるんじゃねぇかってくらい。





「じゃあ家にいる?」

「部屋も冷えてきたしな」

「家が一番だよ!!」



 俺ら2人してインドアな雰囲気が流れ始めて家で過ごすことになった。




 つーかこんな微妙な関係なのに、毎日のように一緒にいる俺らは普通なのかおかしいのか。




「じゃあ黒田杏男性恐怖症克服作戦!!でもするか(笑)」

「長い!!」



 急に俺がした発言。




 とにかく俺だけでも慣れてほしい。




「俺が触れるたびに肩ビクッとさせるのやめろ」

「そんなこと言われても…」

「じゃあ作戦1」



 勝手に始める俺。