「杏って料理するの?」


 新しい杏の部屋で寛ぎ中の俺。



 家具付きでこの部屋は安いだろーな。



「出来るけど…バリエーションが少ないの。料理知らなくて…」

「あー…そうか」



 杏は相変わらずの世間知らずで料理も勉強中。




 テレビは見ないらしくほとんど芸能人も知らないみたいだ。





「また作って食わせてよ」

「いいよー。あ、なんなら夕食食べてく?」

「マジ?」



 ゆっくりと起き上がった俺は杏のほうを見る。




 いいよ、と笑顔で頷く杏はキッチンに入って行った。




「琉ってオムライスが好きなんだよね?」

「え、あぁ…」

「じゃあオムライスでいい?」

「いいの?」

「うん、全然いいよ」



 杏はどうやら俺の好物を作ってくれるらしい。



「作り方知ってたんだ?」

「この前調べたの!」



 嬉しそうに話す杏。



 俺のために調べてくれたんなら嬉しい。