「とりあえず今日はやっぱり泊って? 本当遠慮とかいらないから」
「…はい」
さすがに頷くことしかできなかった。
「夕食は食べた? …って、うちに置いて行っちゃったのね」
「はい…」
「…これだけ?」
「十分過ぎるくらいです…」
おにぎり1つって言ったら、私にとっちゃ嬉し過ぎる。
まともなご飯なんてバイト先のまかないくらいで、家で何かを食べた思い出なんかない。
「成長期なんだからたくさん食べないと!」
そう言って女の人は今日の夕食であろう食べ物をだしてくれた。
「俺も食う―」
「はいはい。あるから! 二人で仲良く食べてね。私はちょっと優のところに行ってくるから」
そう言うと女の人は出て行って2人きりになった。
「食おうぜ」
「うん…」
キッチンに行き、椅子を借りて食べた。

