夕食を食べ終わった俺たちはリビングで寛いでいた。



 松葉杖を上手く使って立ち上がる。




「どうした?」

「そろそろ御暇するよ」

「…あのアパートに帰るのか…?」




 杏が窓から落ちてからまだ1度も戻っていない。




 約2週間くらいずっと放ったらかしだったんだ。





「帰るよ」

「大丈夫かよ…」

「うん」



 杏はちゃんと返事をするけど、俺が不安でならない。




 けがをする前のようによく笑うし、杏のままだけど。




 無理してねぇ?





「送る」

「大丈夫だよ~」

「俺が大丈夫じゃねぇ-の!」



 渋々了承してくれた杏は片足だけ靴を履くと母さんに挨拶。




「お邪魔しました!」

「また来てね?」

「はい! アパート捜しておきます!」

「私もいいところがあれば紹介するわね」