「ご両親がいいなら…家に住んでもいいし、近くでマンションを探してもいいじゃない?」
母さんの言葉には正直驚いたけど、杏は頼れる人を近くに置いたほうがいい。
杏は食べていたサンドウィッチを皿の上に置いてオレンジジュースを流しこんだ。
「…両親……」
杏は困ったような顔をすると「このあたりでアパート捜しますね」と苦笑いをした。
杏の両親の話は聞いたことがないけど…。
「一緒に住まないの?」
「それはさすがにご迷惑ですよ」
「遠慮しなくていいのに…」
母さんは残念そうな顔をする。
そりゃ一緒の家に住めたら守りやすいし、支えになってやれる。
一番いい方法かもしれない。
「杏、一緒に住むのもう少し考えねぇ?」
「……一緒はちょっと…」
「そっか…」