頭の傷も少しずつ治っていき、家で安静にするようにと退院できることになったのは2週間後くらい。



 学校は夏休みも始まっていたからそんなに休まずに済んだ。




「杏、おめでとう」



 相変わらず病院に通ってた俺だけど、なぜか杏に距離を置かれるようになった。




 杏に自覚はないっぽいけどやっぱり少し恐怖はあるみたいで。




「琉は大丈夫だよ」



 何度聞いた言葉だろうか。



 そうは言われてもこの距離は俺から縮められない。




 また拒否されても嫌だし、何より杏の恐怖を煽るようなことはしたくない。






 母さんの提案で退院祝いを家ですることにした。



「ねぇ、杏ちゃん。こんなこと言っちゃ悪いんだけど…あのアパートはもう引っ越した方がいいわ」



 母さんは気まずそうに話す。



 だけど、俺も同感だった。