工藤聡志は精神的にも問題があったようで自分が何をしたのか全く理解していなかった。



 工藤の記憶にはなくても杏は十分過ぎるほどに傷ついて追い込まれたんだ。






 医者によると男性恐怖症になった杏は俺でさえも拒否してしまうかもしれないらしい。





 両親もいない杏は誰を頼ればいいのだろうか。





 せめて俺だけでも味方に着いてやりてぇのに。




 杏の仲のいい友達にはそんなところまで相談出来るだろうか。




 余計な考えがどんどんと出てきてキリがない。




 病室に入ると杏はやっぱり震えてて中々見れない。




 ベッドの上にバラまかれた写真は痛々しいほどの数。





「杏、大丈夫だったか…?」



 俺がそう聞くと小さな声で返事をする。



 やっぱり俺まで拒否されているのだろうか。





 どうして杏がこんな目に……。



 俺は杏の幸せを願っているだけなのに…。