「杏、大丈夫だったか…?」
工藤さんが警察に連れていかれて琉も重要参考人として警察に行った。
警察署から戻っていたであろう琉が遠慮気味に部屋に入ってきた。
「…うん」
「怖かったよな…ごめんな、傍にいなかったから…」
「琉は…悪くないの」
病室には工藤さんがばらまいた写真と花束が置いてある。
工藤さんが座っていた椅子に座った琉は泣きそうな顔で私を見つめる。
「…杏、なんで…こんな…」
「え?」
「杏なにもしてないのに…ケガまでして男性恐怖症にまでなって…拉致されなきゃならねぇんだよ…」
ツーっと綺麗な涙が琉の片目から流れてきた。
琉が…泣いてる……。
私のせい?
「ごめんね…琉…」
「杏が謝ることは何もねぇだろ…」
だけど、私が泣かせたようなものでしょう?

