溺愛男子



 息を荒げて今か今かと待っている工藤さん。




 ――――――チーンッ




 聞きなれた音ともに扉が開くとものすごい速さで走りだす工藤さん。





 振動で足と頭に響く。





「りゅ…」

「杏ッ!!」




 人1人抱えているのと何も持っていないのはやっぱり速さが変わるもので簡単に追いついた琉はにこりと私に微笑みかける。




「杏、もう大丈夫だからな?」

「…え?」




 何を根拠にそんなこと言えるの? と聞こうとしたら、大きな音が響き渡った。




 サイレン…?




「…琉…まさか」

「警察呼んだ。完全に誘拐じゃねぇーか。犯罪だよな?」




 なんて行動の早い人だ。




 さすがに怒り始めたのかフルフルと怒りを込めた表情の工藤さん。