溺愛男子



 右足は骨折をしていてベッドからは動けない。




 それ以前に震えて手も思うように動かせない。




「あ、いいこと思いついた」



 私が拒否をして伏いていた工藤さんは急に顔を上げるとそう言う。





 立ち上がると私の足をベッドから外すとにっこり笑った。





「…今から一緒だよ」



 私の横に立つとこっちに手を伸ばしてくる。





「やッ!!」



 体が拒否反応を起こす。




 それまでピクリともしなかった体がビクッと反応してガタガタと震え始める。





「どうしたの? 寒い…? 今から温かい所に連れて行ってあげるからね」




 私を無理矢理抱き上げた工藤さんは病室の出口に向かった。




「は、離してっ!!!」

「どうして?」

「ど…こに行くっの…」

「俺の家だよ」