溺愛男子


もう工藤さんのすべてを拒否してしまっている私。




 視界にも入れたくない。




「俺たちはずっと一緒だよ」




 にっこりと笑う工藤さんはどこか遠くを見ている。




 永遠の愛を誓われても応えることができない。





 それよりも怖くなったのか指一本も動かない。




 硬直していて頭しか働いていない私には恐怖でしかない。





「…は、なれて…」

「え?」

「…私に近づかないでっ…」



 やっと動かすことの出来た唯一の口からの言葉。




 目からも温かいものが流れてくる。




「…杏里、どうしてそんなこと言うの? 俺らはずっと一緒に…」

「いないよ…」

「う、嘘だ。これからもずっと一緒だって…」

「言ってないっ…」