溺愛男子


「どうして? あんなに愛し合ったじゃないか…あんなに笑ってくれたじゃないか」



 鞄の中から大量の写真を取り出してベッドの上に巻き始めた工藤さん。





 ―――全部、私。




「こ…れは…?」

「杏里の写真だよ。俺が撮ってあげたんじゃないか」



 ふふ、と笑う工藤さんは一枚一枚を頬笑みながら見つめる。




 …全部目線のあっていない写真ばかり。




 ところどころに工藤さんも写っていて、バックに私が歩いている物もある。





「…ちょ…っと…」



 部屋に仕込まれていた盗撮カメラから取り出したのか、寝顔の写真も着替え中の写真もある。




 私が笑っているのは…全部琉と写っている写真。




 琉の顔は無残にも赤マジックで塗りつぶされていた。





「…ねぇ? 幸せそうに笑っているだろう?」


 1枚を手に取った工藤さんは私に見せる。




 それも琉と写っていたであろう写真。



 琉の顔の上に工藤さんの顔が貼られている。