溺愛男子


「へぇ? 見せてみろよ」

「…あ、あなたには見えないんじゃないかなぁ? 魔法の鍵だから…」

「…ちょっと無理あるぞ、それ」



 私の腕を掴んでいない方の手で口元を押さえて笑いを堪えているみたいだ。




「ホントに大丈夫だから!!」

「…面倒くさい」

「じゃあ離して!」

「…」




 なかなか離れてくれない。




 向こうも男の人だし、力は敵わない。




 それより…少し怖かった。




 反抗し過ぎると殴られるんじゃないかって。






「琉(りゅう)? 誰かと話し……あら?」

「あ゛……」



 玄関から顔をだしたのは……そう、さっきの美人。




「…戻ってきたの?」

「いや、違います!! 帰ります!! あ、服!!」



 女の人にさっき洗った服を押しつけた。



「…洗濯したの?」

「…はい…アイロンかけてないんですけど…」

「それはいいんだけど…」