溺愛男子


「なんでコリゴリ?」

「…なんでも!!」

「理由になってねぇし、拒否権はねぇな」



 見下ろすように私を見てから腕を引っ張ってくる。


「家、ねぇの?」

「…鍵ないの!!」




 もー…、言わさないでほしい。



 私の恥ずかしい失態を…。





「来い」



 なんつー…命令形だよ。


 話も通じていないような感じで言われた。







 有無を言わさずに引っ張られていく。





「あ…れ…。ここって…」

「何? 俺んちだけど」

「い、やっぱいい!! 帰る!!」

「どこにだよ、鍵ねぇんだろ」

「今! 今、見つけたから!!」



 ないものをあるように振舞ってなんとか誤魔化す。