溺愛男子


「ここで寝るな!!」

「はい?」

「ここは暴走族とか集まりやすいからあぶねぇ」

「じゃあ他のところ探します! ありがとうございますー」



 膝の上に載せてあった服を手に取り、ベンチから立った。




 なのに、なかなか去ろうとしない男の人。





「…どこ行くわけ?」

「…んー、どこかいい場所あります? 人が少ない所」

「家に帰れよ…」



 鍵がないのよ!!



 なんか感じ悪い人だなぁ。




 だけど、親切に私に危ないと教えてくれたんだよね。




 この街は親切な人が多いな。





「どこかいい場所! ないの?」

「…俺んち来る?」

「いい。他人の家はコリゴリです」



 親切すぎて困る。




 甘えてしまったら1人暮らしなんか出来なくなっちゃうよ。