溺愛男子



 物心ついて初めて位の安全な眠りについた。




「…んだよ、こいつ……」

「ん…」



 誰かの声に目を開けた。



 目の前に見えたのは知らない男の人。





「わ…」

「んなとこで寝てるとあぶねぇぞ」

「安全です…」



 どこが危ないのよ…。



 殴られないでしょ?



 蹴られないでしょ?



「…面倒くせぇな…。早く家帰れ」

「…今何時です?」

「話聞いてる? ……もうすぐ23時だけど」


 目が慣れてくるとハッキリと顔が見えてくる。





 …どこかで見た顔。




 誰かに似てる…?




「23時ですか。ありがとうございます…おやすみなさい…」

「は?」



 もう一度目を閉じようとしたら、機嫌の悪そうな声に叩き起された。