「…琉、手…熱い」

「熱くねぇ」




 ぐっと杏に手を引かれたかと思うと俺の額に空いている方の杏の白い綺麗な手が触れる。




 冷たい……。





「やっぱり…琉は下がってて」

「は…?」



 俺の前に出た杏は女たちに向かった。




 …俺が守らなきゃいけねぇのに。





「ねぇ、あなたたち」

「は?」

「もう十分でしょ? 私の悪口は済んだ?」

「何いって…「悪口を言われるのは慣れてるの。そりゃ傷つかないって言ったら嘘だけど、もう弱い私じゃないのよ」」





 そう言う杏は本当にたくましくて。




 背中がいつもより広かった。



「どれだけ琉に離れろって言っても、私が琉から離れないから」

「…ふざけんなよ」