杏の傍に駆け寄った俺は腕を掴んで、俺の後ろに杏を移動させる。





「……あんたら何がしたいわけ?」

「何って…ただ琉君が困ってると思って…」

「お前らのほうが迷惑だってこと気付かねぇの?」




 気分が悪いなんてとっくに通り越してて、怒りと頭の痛みが入り混じる。





 少しずつ少しずつ息が上がってきて、立っているのも辛くなる。




「でも! その女のことも迷惑だと思ってるんでしょ?」

「誰がそんなこといったわけ? 全く思ってねぇし、思うつもりもねぇ」




 俺は杏さえいればいいってくらいだ。



 迷惑だなんてこれっぽっちも思わない。




 杏を掴んでいた手の力を強くする。





 …死んでも離さないから。