すっげぇ良いムードの時にケータイのバイブがなった。





　誰だよ…。




　いやいやながらも肩手を杏里の背中から離してポケットに手を突っ込んだ。





「…うわ、なんでアドレス登録してあんだよ…」




　着信は『可愛い可愛い音』と書かれてる。





　うっぜぇ…。




「…出ないの?」

「あ、代わりに出てくれない?」

「私が…?」



　涙をぬぐってやりながら杏里にケータイを渡した。




　着信相手を見せないで。






「…もしもし?」

『………誰?』




　こっちまで声が漏れてきてる。